文化国家を再興する日本の伝統教育強化を


教師のあり方、教育の根本改革へ全力
教科書法案の提出、早急な課題に

平成30年2月28日、日本の教育正常化をめざす一般社団法人・全国教育問題協議会(中尾建三理事長)は第三回役員会を東京都千代田区永田町で開き、これまでの活動報告や今後の方針などについて来賓や顧問の方々の意見を取り入れながら多方面に活発な意見交換を行いました。

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来賓として山谷えり子参議院議員(参議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会委員長、自民党文化伝統調査会会長)、上野通子(うえのみちこ)参議院議員(自民党文部科学部会副部会長)、宮川典子衆議院議員(文部科学大臣政務官)、宮崎貞行議員立法支援センター代表、全教協顧問の小林正氏(教育評論家、元参議院議員)、杉原誠四郎・武蔵野女子大学元教授(新しい歴史教科書をつくる会前会長)、久保田信之・学習院女子大元教授(NPO法人修学院院長、アジア太平洋交流学会会長)、友好団体である全日本教職員連盟の岩野伸哉委員長(日本教育文化研究所長)が今後の日本の教育のあり方について、それぞれの立場から報告されました。
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平昌冬季五輪が終わり、いよいよ2020年は東京五輪。2019年にはアジア初となる日本でのラグビーW杯が行われます。

日本が文化国家であることを内外にアピールし、日本の貴重な伝統文化を再興し、ソフトパワーを増進するための教育再生ターニングポイントとなっています。

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役員会では、平昌五輪で金メダル二連覇の偉業を達成した羽生結弦選手は3年前の国別対抗戦でインタビュー時に荷物に大切にしまっていた日本の国旗を「下に置くことはできないので、だれか持っていて下さい」と依頼してインタビューに答えた逸話が岩野伸哉氏を通して紹介されました。

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日本は大相続時代となり、相続税が高くなることで家にある貴重な文化財を二束三文で売り渡し、日本の伝統文化が稀少な価値を持つことを熟知する中国や欧米にどんどん買い取られるばかりか、日本の土地も売り渡されている実態があります。

山谷えり子参院議員は、「東京五輪で日本の文化予算を飛躍的に強化し、日本の伝統文化を国際的に大切にしていく契機とし、日本人の美しい心を大切にする伝統文化教育の再生復興が喫緊の課題となっている」とし、これが日本の教育の課題であり、全国教育問題協議会として、日本の伝統文化に誇りと自信を持てる国民運動の展開が必要であることが話し合われました。

とくに、わが国の教科書は、国家の解体を求める左翼史観によって日本の伝統文化を貶めるないように満ちており、文科省内にも村山政権、民主党政権時代に共産党シンパが多数入省し、日教組に対して融和的な姿勢を取ったり、教科書行政を牛耳ろうとしつつあり、国家百年の大計である教育の最大の障害となっています。

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宮崎貞行氏は、その阻害要因に対処するために校務教職員の政治活動に罰則を設け、教職員組合活動の情報公開法を制定し、教科書基本法の制定が急務であることを強調しました。

深刻な教科書会社の不正や教科書検定のあり方の問題点を改善するために、抜け道を防ぐために必要な教科書法案(教科用図書基本法)の制定は重要で、立法化に向けてしっかりとした準備をしていく国民的な議論へ展開できるようにしていくことが今後、問われることが紹介されました。

神奈川県内の私立高校ではいまだに堂々と校門外で赤旗を振る街宣活動だけでなく、うつ病闘争まで行って学校側に賠償責任を問う狡猾な実態なども紹介されました。

その他、2060年には日本で人生100年時代を迎える中、宮川典子衆議院議員が学校教育のシステムを六三三四制から新しい形態に変えていく必要性を検討、上野通子参院議員が、もったいない運動を通して日本の良さを広げていく活動を説明しました。

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【平成29年の教育界の動向】
全国教育問題協議会によるまとめ

1 文部科学省が新学習指導要領を告示
文部科学省は3月31日、小学校は平成32年度から、中学校では平成33年度から実施する新学習指導要領を告示しました。

《新学習指導要領の重点》
①新学習指導要領では知識重視から思考力・判断力の育成に重点を置き、子供の能力を高めます。
②小学校では英語を正式の教科とします。
③コンピュータを動かす論理を学ぶプログラミング教育を必修化。
④小中学校の全教科で討論などを重視する主体的対話で深い学びの授業を導入。
⑤各教科とは別に「特別の教科の道徳」を設置。
②新学習指導要領の総授業時間は平成14年度に実施したゆとり教育以前に戻りました(1年制782時間、4年以上945時間)

2 特別の教科道徳
道徳教科化のきっかけは、へいせい23年(2011年)10が禹Tに滋賀県大津市で派発生した中学生いじめ自殺問題で平成25年、政府が設置した教育再生実行委員会が教科化を提言し、平成27年に正式に導入を決定しました。道徳は新学習指導要領に先行し、小学校では今年から、中学校では平成31年度から実施されます。道徳の教科書は、検定教科書を使用しますが、評価は数値・点数ではなく、文章で記すことから特別の教科として位置づけられました。

3 教科書の検定・採択
このたびの学習指導要領の改訂は9年ぶりですが、改訂に合わせ、小学校の教科書は今年度に検定が行われ、平成31年度に採択され、平成32年度から使用開始となります。中学校の教科書は1年遅れて実施され、さらに1年遅れて高校の教科書の検定・採択が行われます。

4 低率だった10代の投票率
10月22日に投開票された第48回衆議院議員総選挙は53.68%で、前回より1.02ポイント上回りましたが、依然として国民の政治意識の薄さを示す低水準でした。総務省の発表によると、このうち10代の投票率41.5%で年齢別の内訳は18歳が1.28%、19歳が42.3%でした。18歳まで選挙権を与えられましたが10歳代は低率であったと言えるでしょう。

5 大学入試改革
大学受験生にとっては死活問題となる大学入試改革の方針が固まりました。7月に平成32年度から大学入試センター試験に代わって始まる「大学入学共通テスト」の実施方針が公表されましたが、改革の柱は記述式問題と英語の民間試験導入で、11月には英語を除く教科のプレテストが行われました。ただし記述式をめぐっては採点の公平性の確保など多くの不安が残っており、英語の民間試験についても同様で、民間導入で受験生の費用負担が増えるとの指摘もあり、問題が山積しています。

6 教師の働き方改革
平成29年12月13日、中央教育審議会の特別部会は長期間労働を解消するため、勤務時間に上限を設けることについて中間報告をまとめました。12月26日、文部科学省はその報告に沿って「学校における働き方改革に関する緊急対策」について発表しました。昨年、教員の「働き方改革」は、文科省が一ヶ月かけて全国の教員、小学校400校から約1万人、中学校400校から約1万人を対象にして、教員の一週間の総勤務時間が60時間を超えているのが小学校は33.5%、中学校57%が超えており、月80時間、1日3時間ほどの勤務時間をオーバーしている実態を4月28日に発表、マスコミも大きく取り上げて問題になりました。

全日教連の郡司隆文委員長は、5月19日付の「中央情勢報告No.3」において、文科省の教職員の勤務実態調査の結果発表を報じた上で「校務・部活のあり方」を見直す校内の業務改善だけでは、教員の多忙解消への改善は難しい。教員が子供と向き合い、真に教育専門職として自らの職責を十分に果たすためには、さらに教職員定数の充実と加配定数の適切な措置が必要」と述べました。

7 学校の現状
①平成29年5月1日の学校基本調査によると、

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②児童生徒の問題行動
文部科学省が10月26日、平成28年度の「生徒指導上の諸問題」の調査結果を公表したものをまとめました。

《暴力行動》

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《不登校》

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《いじめ》
平成29年3月、文部科学省は「自動生徒間のけんかやふざけ合い」もいじめとしたため、前年度より10万件増加の32万件となりました。また、いじめを主な原因とした自殺者は10件でした。

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【できるだけ早期に教科書法案を提案する理由】

一般社団法人「全国教育問題協議会」は平成30年2月28日の第三回役員会でできるだけ早急に教科書法案の制定が必要であることを決議しました。全国教育問題協議会が教科書検定のさまざまな問題点を改革、刷新させるために教科書法案を立法化推進が必要不可欠であるとの理由は以下の通りです。

■教科書行政法の一本化

平成18年12月改正教育基本法が公布・施行されたが、旧来の教育基本法が制定されて今日まで部分改正を繰り返してきた教科書行政法を一まとめに一本化する必要があります。

■総合的な教科書行政に必要な教科書法案が廃案になったままの現状刷新

「教科書発行に関する臨時措置法」は戦後間もない昭和23年、経済の混乱、教科書用紙の不足という困窮事態に対処するための臨時措置として定められた法律で、当時と現状は大きく違うのに変わっていない。昭和31年、総合的な教科書行政のための「教科書法案」成立が図られましたが、参議院で廃案となり、現状に至っていますので、総合的な法案を立法化する必要不可欠な時期になっています。

■教科書検定規則の新たな明文化は教科書の調査・審議の透明性を確保するために必要かつ重要

教科書検定制度は本来、教科書が学習指導要領に準拠して作成されているかどうかを基準として進められてきました。昭和38年、「義務教育諸学校の教科書図書の無償措置に関する法律」が成立し、教科書の無償給付や給与措置が取られ、あわせて教科書の採択、発行が法文化されました。また、昭和33年、従来の試案だった学習指導要領が基準となって、文部大臣の公示、官報に告示されるようになり、法的拘束力を持つようになりました。教科書検定規則はこれまで省令に委ねられてきましたが、法律事項に格上げ、明文化することで検定基準とともに、教科書の調査・審議の透明性を確保する上できわめて重要な核心部分となります。

■教育委員会の職務権限と教科書採択制度の間にある矛盾解消

平成23年、中学校教科書採択をめぐっては「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」が定める教育委員会の職務権限と「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」の広域採択制度との間に深刻かつ重大な矛盾を来しています。これらの事態を解決・解消し、「弥縫(びほう=失敗や欠点を一時的にとりつくろうだけの状態)的だ」と指摘・批判されている教科書行政を総合的な教科書法案として抜本的に改正・整備することが必要不可欠であり、急務です。

以上が一般社団法人・全国教育問題協議会が提案する教科書法案の策定理由です。

平成29年2月27日 一般社団法人 全国教育問題協議会 第三回役員会