憲法改正へ条文案、国民合意へ柔軟具体化


細川博之自民党憲法改正推進本部長が講演

自民党の細田博之憲法改正推進本部長は5月30日、自民党本部で行われた日本自由主義会議の定例会で講演し、党の改憲条文案について「時代に即した内容に変えるべきだ」として他党との協議を踏まえて柔軟に修正を検討する意向を明らかにしました。

憲法9条への自衛隊明記など4項目の条文案について、他党との協議を通じて改憲原案を作成するための「たたき台」と説明し、他党との柔軟な協議を通して改憲原案のたたき台修正はこれからの柔軟対応で結論を出していく今後の見通しを語りました。

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30日に開かれた日本自由主義会議(議長=池田十吾国士舘大学大学院教授)の定例会には一般社団法人・全国教育問題協議会の役員や会員なども参加し、制定から70年以上が過ぎた日本国憲法の条文が現実に合わない場合はどう改正するか、解釈を国会で決めていく過程に高い関心を見せました。

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自民党は3月、(1)自衛隊明記(2)緊急事態対応(3)参院選の合区解消(4)教育の充実-の改憲4項目の「条文イメージ(たたき台素案)」を公表。

4項目は初めて国民に問うにふさわしい内容となっており、憲法第二十六条については教育の充実として「国は、教育が国民一人ひとりの人格の完成を目指し、その幸福の追求に欠くことのできないものであり、かつ、国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担うものであることに鑑み、各個人の経済的理由にかかわらず教育を受ける機会を確保することを含め、教育環境の整備に努めなければならない」との条文たたき台が示されています。

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講演では、自民党憲法改正推進本部の根本匠事務総長もポイント解説し、自衛隊を憲法に位置づけ、自衛隊違憲論に決着をつける意義を強調しました。

質疑応答では一般社団法人・全国教育問題協議会を代表して顧問の杉原誠四郎元武蔵野大学教授が質問し、「安倍首相が自衛隊を加憲する案の提示は賛成だが、もしも憲法改正ができない場合でも、これまで自衛権があっても交戦権を認めないという解釈だったものを交戦権は解釈上、認められる形にできるようにしてほしい」と要望。

「マッカーサーは天皇を元首とする三原則を作ったにもかかわらず、日本の公民教科書は天皇を元首とするという解釈も成り立つという表記もあり、政教分離についての解釈を明確化することが大切だ」と述べました。

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これに対し、細田博之氏は「これらは基本的に重要な問題であり、憲法九条をどう変えるかについては党内でも大激論してきた。平成24年には九条第一項に自衛隊は自衛権の発動を妨げるものではないとして国防軍という表現で案を作成したが、保守系のメディアからも軍国主義の復活イメージがあるとして評判が悪かったが、自衛隊は個別の自衛権はあるという真意が連続性としてある」とした上で「『前条の規定は○○』と言う表現を入れて、これまでの解釈を変更せず、なおかつ自衛隊の存在を合憲と位置づけて採用した内容になっている。こうすると、これまでの自衛権の意味を拡大解釈したのではないかという議論は必ず起こり、広い意味での国際的な自衛権という解釈も出るので、野党は拡大解釈と言いかねない。しかし、われわれはこれまでの解釈を維持しながら自衛隊を位置づける」と解説。

さらに党内の議論としては「石破茂氏のように二項を維持することはやめるべきだとして交戦権、自衛権の問題は正面から取り上げるべきだとの有力な意見もあり、決して否定できない。党の意見の欄外に内々には九条二項削除論が有力な意見としてあった」とした上で、「自衛権の発動という表現の方が良いという意見もあったということを提示した」と話しました。

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野党各党の反応を見ると、「与党を含め、反対論が出てくる可能性はある」と見通した上で、「ある程度、妥協的な表現になっていて、なおかつ修正が必要な場合は、党に持ち帰らなければならないということが予想されるが、現状では、そこまで行っていない」と述べ、条文案に柔軟性を持たせて与野党の対応に対応できる形にしていることを解説しました。