働き方改革に逆行する教育現場一新を


日本の教育正常化と美しい日本人の心を育む教育をめざす一般社団法人・全国教育問題協議会(中尾建三理事長)は戦後教育で大きな問題点を残している学校教育、教科書問題、教育環境の正常化(健全化)を目指し、憲法改正を推進して美しい日本人の姿を体現する教育再生を活動の指針としています。

以下は、全国教育問題協議会が役員や会員から募っている日本の教育に対する「1000字提言」です。今回は全国教育問題協議会顧問の小林正氏(教育評論家)の1000字提言を紹介します。

小林正氏は8月25日(土)に東京・永田町で開催される全国教育問題協議会主催の第38回教育研究大会「日本の未来を築く国づくり・人づくりをめざして ――山積する教育問題とその解決策――」での第二部のシンポジウムでパネリストの一人として出席されます。

ブラック化する学校、暗雲を吹き払え
働き方改革に逆行する教育現場の一新を

全国教育問題協議会顧問 小林正氏(教育評論家)

第一九六通常国会が閉幕した。産業構造、グローバル化の進展に伴い、従来の九時~五時型からフレキシブルな勤務態様へ、さらには高度プロフェッショナル制度の導入と働き方改革が急ピッチで進められている。

こうした状況の反映なのか、富山県の災害補償基金支部が平成二十八年秋に病死した公立学校教員について遺族が申請した公務災害認定について、同県支部が認める決定をした。

同県支部や教育委員会によると、基金は「過労死ライン」となる時間外労働の目安を、直前一か月で百時間、長期にわたる場合は月八十時間などとしている。

教諭は部活動の顧問もしており、同年夏ごろから過労状態が続いていたという。教諭の性別や年齢など詳細は明らかにしていない。

県教委・教職員課長は「二度と起きないよう教職員の働き方改革を進めたい」としている。

基金がこのケースについて病死を過労死と認定したことは特筆すべきことである。

一般論として同じ状況下でも必然的に病死するとは限らない。これが厚い壁となってきた。

二〇一六年度の文科省「教員勤務実態調査」によると、公立学校教員の勤務時間は週三十八時間四十五分と定められているが、実態は過労死ラインとされる週六十時間以上勤務した教諭は中学校で六割、小学校で三割に上る。

教諭の一週間当たりの勤務時間は十年前と比べて約四~五時間増えた。しかもこのデータには自宅を持ち帰った残業は含まれていない。

客観的な事実として、学習指導要領改訂に伴う授業時間数の増加が挙げられる。

授業本番と事前・事後の指導に関する準備と事後の扱いに要する時間を充足させるためには、教職員定数増が必然的に求められる。

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児童・生徒数の減少に伴い、定数を削減するという論理では学校はブラック化するばかりである。

この間、教育活動は本来継続的で時間管理になじまないとして、給特法によって一律四%の支給で超過勤務対応をしてきた。

これは超勤の実態を反映したものとはなっていないばかりでなく、このために逆に教職員の勤務時間管理が等閑にされてきた。

富山県の地方公務員災害補償基金の支部が投じた一石は全国に波紋を広げ始めている。

働き方改革の中で教育のみが取り残されないために、学校・教職員が一体となってブラックの雲を吹き払わなければならない。