家庭、学校、行政の責任問われるいじめ問題 全教協の提言
家庭、学校、行政の責任問われるいじめ問題
「いじめ防止法」制定後も、いじめに起因する自殺は後を絶たない。
校内暴力事件も増加しているのが現状だ。
文科省も学校に必要なあらゆる種類の担い手を配置するために以下の四つが課題となっている。
一、中学校の生徒指導体制の強化を目指し約1600人の配置増
二、スクールカウンセラーを2万7500校に配置
三、スクールソーシャルワーカーを全中学校に1万人配置
四、いじめ問題に関する指導者養成研修など行政として取り組んでいるもののいじめによる悲惨な事件は解決できずに社会問題化している
最近、長崎、埼玉、神戸、青森で町や学校の過失に対する損害賠償による解決のケースが目立つ。公金によって命を保障することが果たしてベストとは言えない。とにかく年に30万人の子どもと親の悩みをいかに解決するか、家庭、校長、教師、行政の責任が今、問われている。
全国教育問題協議会常任理事 山本豊
【平成16年の小中高校における問題行為】
■いじめ発生……323142件
■いじめを苦に自殺……10件
■不登校……15万件
■校内暴力……55000件
「いじめ」問題の解決は学級担任教師の職務履行から
「いじめ」は人権にかかわる重大な問題であり、被害者の苦痛は自殺に追い込まれる程に極めて深刻な状況です。ところが一向に「いじめ」被害者の自殺が減らないのはなぜでしょうか。
その第一の原因は、学級担任教師の極めて無責任な職務怠慢です。一学級平均三十人未満の児童、生徒たちの動向は、普通に注意していればわからないはずがありません。
しかも、自殺に追い込まれたケースでは、死を選ぶ前に幾度となく担任の教師や学校、教育委員会などに訴えているのです。
広島では今年、府中町立中学生の自殺事件について同県の県議が担任の教諭を刑事告発し、受理されました。
長崎県では上五島町立中学校における被害生徒の両親が町と県に対し、六千万円を超える損害賠償の訴訟を提起し受理されました。このように、関係者の責任を厳しく追及することが必要です。
次に行政の長は、関係した担任の教師、主任、教頭、校長及び教育委員会の関係者に対して法令などに基づく厳正な懲戒処分を実施することが必要です。これまでは全国的に対応が甘すぎました。関係各位はそれぞれその責任の大きさを痛感し、厳しく対処する必要があります。
【都道府県別いじめ認知件数】
認知数 千人当たり
(件) 前年度 (件)
北海道 3544( 3669) 6.4
青 森 1225( 968) 8.6
岩 手 1816( 849) 13.0
宮 城 17614( 17567) 69.9
秋 田 1125( 1115) 11.0
山 形 4538( 2712) 36.5
福 島 882( 258) 4.1
茨 城 4719( 4706) 13.9
栃 木 2121( 2028) 9.5
群 馬 2270( 1307) 10.1
埼 玉 3098( 2907) 4.0
千 葉 26030( 20446) 39.9
東 京 8745( 10073) 7.0
神奈川 6944( 7297) 7.5
新 潟 1525( 1394) 6.1
富 山 893( 686) 7.7
石 川 700( 1014) 5.4
福 井 827( 855) 9.0
山 梨 2496( 2254) 25.3
長 野 1545( 1455) 6.3
岐 阜 2741( 3072) 11.6
静 岡 4651( 4529) 11.3
愛 知 11351( 11220) 13.3
三 重 947( 1255) 4.5
滋 賀 1534( 1331) 9.0
京 都 23973( 28118) 85.4
大 阪 5248( 5021) 5.4
兵 庫 2558( 2829) 4.2
奈 良 1377( 1298) 8.8
和歌山 3707( 2649) 33.8
鳥 取 552( 157) 8.7
島 根 703( 344) 9.1
岡 山 1073( 1023) 4.9
広 島 1628( 1126) 5.2
山 口 2206( 894) 14.8
徳 島 755( 578) 9.5
香 川 490( 270) 4.5
愛 媛 1943( 682) 12.7
高 知 716( 540) 9.4
福 岡 3782( 1441) 6.8
佐 賀 283( 238) 2.8
長 崎 2065( 1955) 13.0
熊 本 3057( 3925) 15.0
大 分 3223( 3496) 25.3
宮 崎 8637( 9452) 66.0
鹿児島 5171( 14240) 26.4
沖 縄 1029( 560) 5.1
合 計 188057(185803) 13.7