ブラック残業の過労死白書 教職員は業務に過度ストレス


学校が壊れていくブラック残業の実態
過労死白書 教員8割、業務にストレス
精神疾患、保護者など原因  3万5000人調査

日本の教育正常化と美しい日本人の心を育む教育をめざす一般社団法人・全国教育問題協議会(中尾建三理事長)は戦後教育で大きな問題点を残している学校教育、教科書問題、教育環境の正常化(健全化)を目指し、憲法改正を推進して美しい日本人の姿を体現する教育再生を活動の指針としています。

土日も休みなく追われる部活に毎日の持ち帰り仕事。テストの採点、保護者への対応、生徒指導もやらねばらならない三重苦、四重苦に縛られる学校の教職員の現場……。

学校は、いまや先生たちが授業の準備もままならないほど追いつめられ、疲れ切っています。10年間で過労死63人という現実を突きつけられ、命を落としています。

親たちが知らないブラックすぎる過酷な労働環境の実態を文科省は抜本的に改善すべき時期に来ています。

過重労働が多いとされ、国の調査重点職種となっている教職員や医療関係者らが精神疾患など「心のストレス」を抱える原因として、保護者への対応や患者からの暴力・暴言が多いことが10月30日、厚生労働省などの調査で明らかになりました。

教職員への大規模調査で約8割が業務上のストレスや悩みがあると回答。調査内容を含む平成30年版の「過労死等防止対策白書」は同日、閣議決定されました。

白書は過重労働の是正に加え、ストレス対策 も重要と指摘しています。

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調査は平成27年までの6年間、精神疾患で公務災害や労災と認定された事例を分析したほか、教職員約3万5千人、医師・看護師ら約1万人にアン ケートを実施。

教職員の調査では、回答者3万5640人の1日の平均勤務時間は11時間17分でした。また、忙しくない時期の1日の勤務時間が「10時間超12時間以下」との回答は50・2%で、法定労働時間(8時間)を大幅に超える人が半分を占めました。

教職員では、分析した23人のうち13人が保護者とのトラブルなどを原因として精神疾患を発症するなど深刻さを増しています。

アンケートでは80.7%が「業務に関連するストレスや悩みを抱えている」と回答。

ストレスの内容として「長時間勤務の多さ」(43.4%)、「職場の人間関係」(40.2%)、「保護者=PTAへの対応」(38.3%)が多いのが特徴でした。

過重勤務の防止に向けた対策については「教員の増員」が78.5%で最多。

次いで「学校行事の見直し」(54.4%)、「教員同士のコミュニケー ション円滑化」(43.1%)でした。

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医療関係者では、労災認定された看護師52人のうち23人が患者からの暴力や暴言を受けたとしています。

長時間労働が発生する理由として「診断書などの書類作成」(57.9%)、「救急や入院患者の緊急対応」(45%)が多かったのが特徴です。

必要な取り組みについても、教職員と同様、「増員」が59.8%で最多。

「ストレス対策の相談窓口の設置」が52.8%で2番目でした。

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調査重点業種・職種はそのほか外食、IT産業、運転手があり、今年からメディアと建設業も加えられ、計7種となりました。

国は週の労働時間が60時間以上となる雇用労働者の割合を32年までに5%以下とする目標を立てていますが、白書によると、29年は7.7%で前年と同じでした。

白書によると、過労死や過労自殺(未遂を含む)で労災認定された人は2017年度に190人。業種別では「医療・福祉」が7人、IT産業を含む「情報通信業」が6人。過労死などで公務災害に認定された公立学校の教職員は16年度に6人いました。白書は、昨年に調査した重点業種の「自動車運転」「外食」を含め、業種ごとの特徴に応じた対策を講じ、過労死などの根絶につなげる必要があると指摘しています。

読売新聞の投書欄(18年5月21日付)に20代の教員(千葉・E子)が「定時は午前8時から午後4時半までなのですが、仕事が終わらないため、朝7時前に出勤し、職場を出るのは午後8時、9時過ぎになるのは当たり前です。ここ最近、働き方改革だとして長時間残業をした職員には通達があると言われました。パソコンで出退勤の時間を管理されているので、今はこっそり退勤時間を早めに入力して残業を続けるか、休日出勤するかしています。仕事の効率が悪い私にも責任があるのでしょうが、仕事は減らない、人手不足、でも残業をしないで成果は出してほしい、という現状に嫌気がさしています」と書いて現役教師による教育現場の実態が掲載されています。

一方で、自民党教育再生実行本部の「次世代の学校指導体制実現部会」では公立学校教員の休日取得について、時間外勤務が多い場合は夏休みなどに取得できる長期休暇の日数を増やす制度の導入を柱として安倍首相に提出し、少しずつ改革を進めていますが、まだまだ重い課題が解決されているとは言えません。

残業代を支払わずに基本給の4%を一律に上乗せする「教員の給与等に関する特別措置法(給特法)」では、部活動で子どもたちを指導したり、授業の準備を行ったりする事務作業は、教員による「自発的行為」とされ、公立の小中学校で教員の長時間勤務が続くブラック残業の要因とされています。

遅くまで学校に残り、生徒に尽くしてこそ教師――。そうした考えは現場に根強く、先生の働き方改革を進める上で大きな壁になっています。ただ、学校ではいま、膨大な仕事や部活の負担が重すぎて、肝心の授業は手を抜かざるを得ない実態があり、疲弊した職場環境では子どもたちのいじめに関してのSOSも見逃してしまうことも多くなります。

学校の現場では、ブラック残業を暗黙の了解にする古い慣習を打破し、一番力を注がなければならない授業と学級運営を柱に学校教育を見直していく根本改革の時期を迎えています。