教育勅語は教育基本法と一体
日本の教育正常化と美しい日本人の心を育む教育をめざす一般社団法人・全国教育問題協議会(中尾建三理事長)は戦後教育で大きな問題点を残している学校教育、教科書問題、教育環境の正常化(健全化)を目指し、憲法改正を推進して美しい日本人の姿を体現する教育再生を活動の指針としています。
このたび、全国教育問題協議会は「教育に関する勅語Q&A」を発刊しました。
その発刊経緯と意義について、今回は「つくる会」顧問、全国教育問題協議会顧問の杉原誠四郎・元武蔵野大学教授が以下、全教協ニュース11月1日号に綴っていますので紹介します。
教育勅語は教育基本法と一体
閣議決定の答弁書は正解
「つくる会」顧問 全国教育問題協議会顧問 杉原誠四郎
つくる会は、今、教育勅語を見直そうと教育勅語キャンペーンを展開しています。その際に押さえておかなければならないのは、教育基本法との関係で、教育勅語は教育基本法と一体となすものだということです。
その点を明らかにしたとして言えるものが、昨年3月31日付で閣議決定して出された教育勅語に関する政府答弁書です。この答弁書では後述の衆議院の教育勅語「排除」決議の際の文部大臣森戸辰男の答弁を引用して「憲法や教育基本法等に反しないような形で教育に関する勅語を教材として用いることまでは否定されることではない」と答えています。
教育基本法の立法精神、そして何よりもその内容から、教育基本法は教育勅語を排除したものではなく、むしろ一体のものであることを鮮明にした当然にして優れた答弁と言わなければなりません。
教育学界では多くの教育学会がこの答弁書を抗議して声明を発しています。さすがに道徳教育関係の学会は異論を唱えていませんが、教育学界で最大の学会である日本教育学会は291頁にわたる報告書を作成して抗議声明を出しています。これは教育基本法を正しく理解したものではありません。教育基本法は教育勅語に敬意を表していたのです。
教育基本法は占領下で占領軍の指示で制定させられたと誤解している人が時折いますが、教育基本法は純粋に日本側が自主的に制定した法律です。
この教育基本法の制定を構想した田中耕太郎文部大臣は、当時の文部省関係者の中で最も教育勅語を擁護した人でした。憲法改正の帝国議会で、前述の衆議院の教育勅語の「排除」決定をなす時の文部大臣である森戸辰男議員の質問に答えて「民主主義の時代になったからと言って、教育勅語が意義を失ったとか、あるいは廃止せらるべきものだというような見解は、政府の採らざるところ」とまで述べています。
教育基本法は「教育の目的」の中核を「人格の完成」に置き普遍的教育の実現を目指そうとしたものです。それゆえに教育勅語を否定するものではないということを制定の最後まで明確に確認して制定されました。
■衆議院の「排除」決議の問題点
しかるに昭和23年6月19日、衆議院は「教育勅語等排除に関する決議」なる決議を行いました。参議院は「教育勅語等の失効確認に関する決議」をしました。
この時の参議院の決議は、戦前の学校で教育勅語を学校の式等で奉読を義務づけていたのを昭和21年10月8日の文部次官通牒で廃止したことについて、これを後追いする決議であり、法的には一応問題ありません。しかし、衆議院の「排除」決議は学校教育から排除することを決議するもので、教育勅語と教育基本法との本来の関係を否定するもので、端から問題のある決議でした。
しかも、この決議はGHQの口頭命令で強制させられた決議であり、日本側が自発的に行った決議ではありません。さらにはGHQの中でも教育を管轄していた民政局による口頭命令で、GHQ内でも手続き上、正統性に疑問のある命令でした。
問題なのは、教育基本法制定の瞬間まで維持されてきた教育基本法は教育勅語を否定するものではないという立法者意思の否定であり、さらに何よりも問題なのは「教育の目的」の中核を「人格の完成」とする教育基本法それ自体に反する決議であることです。
衆議院の「排除」決議は、結果として、私立学校でも排除することになりますが、私立学校においては教育の自由があり、この自由にも反しています。
私立学校の自由については、昭和24年10月25日付次官通達「社会科その他初等および中等教育における宗教の取扱について」において「私立学校は軍国主義的、超国家主義的教説を教えてはならないということ以外には、すべての宗教教育および自発的活動に関して自分の教育方針や実践を決定する自由を持っている」との文言で保障されています。
■3月31日付の閣議決定は正しい
よって、この度3月31日付で閣議決定して出された答弁書は、まさに正解です。教育勅語は教育基本法の内容自体から一体のものなのです。
平成9年11月、立川市で、教育委員長がある学校で、教育勅語の一節を使って、親を大切になどと話して、教育勅語を礼賛したとして辞任に追い込まれたことがありましたが、今回の閣議決定は、教育勅語と教育基本法の本来の関係を明確にしたもので、まさに隔世の感があります。
※教育基本法は平成18年に第一次安倍内閣によって改正されました。全国教育問題協議会は10年間をかけて改正実現に向けて取り組みました。
一般社団法人・全国教育問題協議会は、いわゆる保守とか革新、右とか左と二分してとらえられがちですが、特定のイデオロギーを主張している団体ではありません。
日本の教育を通じて美しい国にしようと集う団体です。
このたび、全国教育問題協議会は同会顧問の日本教育史研究の権威である杉原誠四郎・元武蔵野大学教授の監修をたまわり、総力を挙げて「教育に関する勅語Q&A」を発刊しました。
一人でも多くの方々がご一読いただければ光栄です。
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