教科書採用でピリピリ 教員宅訪問営業禁止


つくる会公立小中学校の教科書は4年に一度、発行社を変えることができ、今年は中学の節目。

沖縄県の八重山地方での教科書採択では、大きなしこりを残しました。

全国には約580カ所の採択地域が決められていて、そえぞれの地区の市区町村教育委員会が、どの教科書を使うかを決めることになっています。

都道府県教育委員会は、校長や先生の代表、学識経験者などを集めて「教科用図書選定審議会」をつくり、そこで検定にパスした教科書を比較検討して選定資料を作成していきます。

それらも参考にして、採択地区の市区町村教育委員会が使う教科書を決めていきます。

現場の先生たちの代表が、教科書を使う立場から調べ、「この教科書がいい」と推薦し、教育委員は推薦リストを参考にしながら採択するのが一般的でした。

公立の場合、各学校が自由に教科書を選ぶことはできません。教科書無償措置法という法律で採択地区内では同じ教科書を使うように規定しているからです。

しかし、その一方で、地方教育行政法では「各市町村の教育委員会に採択権限がある」と規定しているため、この食い違いで沖縄県竹富町と石垣市、与那国町でつくる沖縄県八重山地方の採択馳駆協議会で2011年8月、翌春からの中学公民教科書に育鵬社版を選定しましたが、竹富町教育委員会は育鵬社版を「沖縄の米軍基地負担についてあまり触れていない」との理由から拒否。東京書籍版を使用することにするという大騒動を起こしました。

この食い違いを解消するため、2015年2月、教科書無償措置法改正案を閣議決定し、採択地区協議会の協議の結果に基づいて同一の教科書を採択することが盛り込まれ、こんな矛盾した八重山の問題が二度と起こらないようにしています。

しかし、その一方で、来年度から公立中学校で使う教科書が7~8月に選ばれるのを前に、宣伝活動が過熱しています。

文部科学省は「教科書会社が教員の個人宅を訪問営業する禁止行為が相次いでいる」として注意喚起の通知を6月5日付で出しました。

教科書会社による教員宅への訪問や見本の提供が禁止されているわけですが、そのことを改めて注意喚起。教育委員や教員が受け入れないよう求めています。

文科省によると、5月末~6月初め、中部と関東地方の教委から、教科書会社の営業担当者による教員宅訪問や見本提供のケースが報告されたとしています。

沖縄県八重山で、大手の教科書会社が動いてもウォッチできる風通しがどれぐらいよくなるのか、まだ、わかりません。沖縄では琉球新報、沖縄タイムスという二大左翼紙しかない極めて異常な言論状態の中、健全な地域紙である八重山日報の現場取材と健筆を願うのみ。

地方に行けば行くほど、大手の教科書会社は潤沢な営業資金と圧倒的な営業力があり、後発の教科書会社は極めて不利な弱肉強食状態です。

地方の中でも共産党推薦で当選した反基地一色で訪米し、米軍普天間飛行場の「辺野古移設」反対の主張は一蹴され、何ら成果なく帰国した翁長雄志(おながたけし)知事のもとにある沖縄の教科書採択に関しては真剣に動向を細かく見て行く必要があります。