日教組腐敗は新たな職能組織発足へのきっかけに


10月25日、一般社団法人・全国教育問題協議会(全教協=中尾健三理事長)は第2回役員会議を開き、今後の活動方針や日本の教育のあり方について来賓や顧問の方々の意見を取り入れながら多方面から活発に討議しました。

全教協顧問の小林正氏(教育評論家、元参議院議員)や友好団体である全日本教職員連盟の岩野伸哉委員長(日本教育文化研究所長)が日教組(日本教職員組合)委員長の腐敗問題について発言していますので、以下、まとめました。

全国教育問題協議会顧問の小林正氏による日教組の見通し

日教組は来年が組織結成70周年。相当に高齢化が進んで屋台骨もガタついてきている。各都道府県教組の組織率も低下しているし、従来は神奈川県から二期にわたって執行委員長を輩出していたが、3月17日の臨時大会で大分県教組出身の書記長である岡本泰良(やすなが)氏にバトンタッチした。権力のトップに立って、その前からもいろいろと批判があった人物だが、権力の側に立ってしまうと、反権力に立っていた者も腐敗する。カネと女という世間によくあるパターンで現在は批判を恐れて自宅に引きこもっているそうです。

同時に日教組の組織としては、誰がリークしたのか、反省するよりも、まず、犯人捜しに躍起になっている。社会的に組織がなぜ腐敗してダメになったかを反省しようとしない。社会的な信用は、その組織が自浄能力があるかどうかで試される。不祥事を起こした委員長を擁護するような犯人捜しから始めているというのは、いかにも自浄作用が働かないどうしようもない組織に落ちたということだろうと思う。

日教組は新しい教育基本法にも徹底して反対し、昨年の平和安保法制にも反対して国会前で連日座り込みを行って3000人動員している。主催者側に対して日教組の代表が「日教組は3000人です」と報告している。麻生太郎財務大臣(副総理)が萩生田羽光一氏に「日教組がそういうことだと定数上、かなりゆとりがあるのではないか。3000人は切っても良いね」と言われています。

自分たちがやっていることが結果として定数増を求める運動に水を差している。そういうことをやって組織の弱体化の原因の一つを作っている。もう終わりだなということです。職能団体として全教協がやってきた教特法で定めた「研究と修養に励まなければならない」という教師の専門性に鑑みて専門職集団としての全国組織結成に向けて、これを契機に動き出せば良い。

そうすると、全教協(全国教育問題協議会)はその先頭に立ってこの運動を推し進める。そうすると、日教組には見切りを付けたけれども専門性を身につけたいと思っている全国各地の頑張っている教師たちに良いニュースを発信できるのではないかと思います。

日教組の教育新聞は非常に歪んで偏向しているから、平和闘争、護憲闘争、道徳教育反対、日の丸反対という職場支配が終止符を打つという意味でも今回の不祥事はわれわれにとって好機と捉え、強力に推し進めていく必要性があるのではないかと思います。

安倍首相や下村博文氏には総裁選で勝つ前に文書を出して、英国でも教職員の職能団体を組織化してやっていることを説明し、それについてはかなり関心を持っておられる。これをきっかけにそのような動きが起これば、全教協が存在感を高からしめることになるのではないかと考えます。

岩野伸哉・全日本教職員連盟(全日教連)委員長の挨拶

先週からの週刊新潮の記事を見ると、驚きですが、年間1000万円の使途不明金があり、それがうやむやになっている。日教組の岡本泰良(やすなが)委員長のスキャンダルは別にして、われわれ全日教連という団体がいかにまっとうな団体であるかということを改めて再認識しました。1000万円あればいろんなことができる。会員からいただいた大切な会費をもっと有効に使えば日教組も発展、充実していくだろうと思うが、組織率25%を切ったとはいえ、それだけの財力がまだあるという状況に教職員団体としての襟を糾す良い機会になったと思います。

しかし、日教組であのようなスキャンダルが発覚すると、われわれのような他の教職員団体も同じようなことをやっているのではないかというような疑念を抱かせてしまうのは非常に由々しきことです。われわれは会員からいただいた会費は日本の教育充実のために有効に使っていくということを改めて会員に向け、国民に向けてしっかり発信していかなければならないです。

われわれの活動、行動で示していきたいと思っています。よければ、文春でも新潮でも、私に密着取材していただいて、私の一日を追っていただければ、何の面白みもなく記事にはならないと思いますが、比較検討していただければ全日教連の素晴らしさが改めてわかって下さるのではないかと思った次第です。

まっとうな活動、だれからも後ろ指を指されない、日本人の美しい心を育てるという大義のもとに活動するわれわれがあるのは、その礎を築いて下さった全教協の山本豊常務理事をはじめ、バックアップしていただいている全教協の会員の皆様のお陰です。