教育こそ未来の国民を創る礎-全教協 教研大会


「美しい日本人の心を育てる教育」と教育正常化を推進する一般社団法人・全国教育問題協議会(中尾建三理事長) は8月19日(土)、東京都内の自由民主会館で「美しい日本人の心を育む国づくりをめざして!!~「失われた日本人の誇りをとりもどす教育を」~」をテーマに第37回教育研究大会を開催しました。

基調講演は有村治子(参議院議員、元文部科学大臣政務官、元女性活躍担当大臣、元少子化対策担当大臣)が「教育は国民性を創る礎」と題して熱弁を振るいました。

有村氏は歴史認識問題について「過去、現在、未来と続く時間軸の中で今を生きる私たちが最も強く影響力を与えているのは過去、現在、未来の中で何か」を直接、参加者に問い、過去を挙手した人は5%、現在に挙手した人は約4割、未来を挙手した人が約6割との反応。

「現在、未来に生きる私たちが先人の歩んできた道や事実に光を当てることもできれば、影を落とすこともできる」「過去の評価をも塗り替えてしまう影響力を持って生きている」とした上で「先人がどんな教育や教訓を残してくれたかを直視することで両親や祖父母、先祖たちが紡いできた歴史に命のリレーの中間走者としてタスキをを託されている」と話しました。

有村氏は松茸など食べ物一つを取っても、感じ方や捉え方が教育によって変わり、コップに半分残る水を「半分しかない」と見るか「半分も残っている」と見るか、その感じ方は幼少期からの教育によって大きく変わっていく大切な礎だと説明。

「『国家』という言葉は国があってこそ家があり、『家国』という言葉はない。民主党政権時に首相が『この国』と自国を表現するようになり、自民党政権になっても、この表現が伝染している」と話すと、会場からは「(この国ではなく)わが国だ」との声が飛びました。

民進党の菅直人政権の時、中国漁船が日本の海上保安庁の船に突撃した事件を例に挙げ、事実を認識できるビデオの公表すら行わず、戦前の遺棄化学兵器処理をするフジタの社員4人を中国で拘束した中国政府に対しても何の抗議もしなかった日本政府の対応、こんなリーダー、政権に負けてしまった自民党の不甲斐なさを回顧し、「どんな教育を行うかは、どんな国の未来を創っていくかと同意義で大変重要だ」と強調しました。

来年で明治維新から150年。民主党議員が待機児童問題でSNSで「日本死ね」と女性が書いた内容を紹介しましたが、不満ばかりをぶつけ、本当に日本がなくなったら待機児童問題が解決するかといえば、そうではないし、自己主張ばかりを声高に叫ぶ「モンスターペアレントの意見ばかりが通るような社会にはなるべきではない」と批判。

「蛍の光」が1番、2番だけでなく4番まであり、その歌詞に千島列島から沖縄まで日本の領土であることが示されていることを会場全体で歌いながらレクチャーしました。

第2部では小林正・元参議院議員(全教協顧問)をコーディネーターにディスカッションが行われ、小林氏は全教協と友好団体である全日本教職員連盟に福岡教育連盟や大分県公立高等学校教職員組合が加盟して全国34団体の加盟を持つ組織に発展していることを紹介。

日本の未来を決する教育問題について安倍政権が果たす役割と今後の課題について各専門家のパネラーと討議しました。

全日本教職員連盟委員長の郡司隆文氏は教職員の労働環境の多忙問題について、過労死ラインが勤務実態調査から小学校で34%、中学校では約6割に達している危機的な状態であり、授業の準備時間が後回しにされているより良い教育のための環境整備の必要性を訴えました。日教組が教職員を労働者と主張しているのと異なり、教職員数を増やしてチーム学校に取り組み、教育専門職として新たに正規授業となる道徳もしっかり授業できる体制を整えるべきだと話しました。

山田宏・参議院議員は教育のあり方について「何かのため誰かのために尽くすことを喜びとする精神こそ大切であり、わが国の根っこにある先人・歴史を大切にする教育が必要だ」と語りました。

日本の教育の現状について、教科書問題に詳しい元武蔵野大学教授の杉原誠四郎氏は「教科書を教育委員が選ぶ建前とは違う実態があるため、現場教師の所属する教員団体の意向に沿って需要の受け皿となる偏った歴史教育を植え付ける自虐史観の教科書が使われている。教育委員会がどんな教科書を採択すべきか一般人にもPDF化して公開し、明示すべきだ」と語り、教科書採択制度の再検討の必要性を強調。

恒﨑賢仁氏(全国教育問題協議会副理事長)は「日教組の組織率は下がっているが、日教組教育チルドレンが教育界の大半を占め、その教育を受けた人を通していまだに強い影響力を持っている」と日教組の政治力による教育界、マスコミ界、官界、政財界への人材浸透力は深く根を張っていることを指摘しました。

一般社団法人・全国教育問題協議会では8月19日、平成29年第2回理事会を開き、今後の教育問題に関する活動方針について活発な意見交換を行い、同日行われた教育研究大会を通して、美しい日本人の心を育てる教育に向けた活動を行っていくことを再確認して決議しました。

平成29年 全国教育問題協議会 教育研究大会 決議文

私たち全国教育問題協議会は1977年(昭和52年)結成以来、約40年間、日本の教育正常化を願う全国の民間人が結集し、活動してきました。安倍内閣が教育こそ国づくりの原点として教育の再生をめざし、取り組んでおりますが、この機にあたり、本会として下記の通り、決議をまとめる。

(1) 教育基本法、新学習指導要領に基づいた道徳教育の推進

(2) 政治的に変更しない自虐的な記述のない教科書が作成され、良い教科書が採択されるように教科書法の制定を推進する

(3) 教育の政治的中立へ向け、法改正、新教育三法の制定
① 教育公務員特例法(教特法)の改正、第一項の「当分の間」の削除。第二項で罰則規定を新設する(例として国家公務員のように三年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。
② 「義務教育緒学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法」(中確法)の改正、恒久法に改めるとともに、処罰請求権者に対して、調査義務を課す。
③ 地方公務員法の改正。教職員組合を含む職員団体に対して収支報告の提出及び公開を義務づけるなどの改正を行う。

(4) わが国の公財政支出に占める教育費の割合が3.5%とOECD加盟国中、最低であり、少なくとも各国平均の水準とすべきであるとの指摘がなされていますが、平均値である4.5から5.0%の目標の達成をめざす。児童生徒の自然減による教職員の定数減も同時に進行している現状から、標準法の抜本的改善の好機でもあり、30人学級実現に踏み出す。

(5) 憲法改正に関しては、美しい日本人の心を体現できるよう、憲法審議会において熟議を重ね、成案を得る努力がなされることを立法府に期待します。

平成29年8月19日 一般社団法人 全国教育問題協議会

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