教育の視点不可欠な憲法改正-第38回教育研究大会


日本の教育正常化と美しい日本人の心を育てる教育をめざす一般社団法人・全国教育問題協議会は、8月25日、「日本の未来を築く国づくり・人づくりをめざして ――山積する教育問題とその解決策――」をテーマに第38回教育研究大会を開催しました。

一般社団法人・全国教育問題協議会(中尾建三理事長)は戦後教育で大きな問題点を残している学校教育、教科書問題、教育環境の正常化(健全化)を目指し、憲法改正を推進して美しい日本人の姿を体現する教育再生を活動の指針としています。

今回の教育研究大会では、安倍政権の総仕上げとなる教育改革と憲法改正、とくに教育問題の視点が不可欠な憲法改正問題について白熱した議論が展開されました。

大会では全国教育問題協議会の中尾建三理事長が「来月、自民党総裁選挙が行われるこの場所で憲法改正の議論を高めることは日本の将来にとって大切」と話し、来賓代表として台北駐日経済文化代表処の林世英・教育組長が台湾と日本の学術交流、学生交流、大学交流の進展について「近年、修学旅行などを通じて絆がさらに強く深まった」と挨拶。

「日本の未来を築く憲法の改正について」を演目に基調講演を行った岡田直樹氏(参議院議員、自民党憲法改正推進本部事務局長)は、自民党内での憲法改正議論の現状と見通しについてポイントを絞って説明しました。

まず、北朝鮮で2016年に発布された「朝鮮民主人民共和国 社会主義憲法」について序文から紹介。金正恩体制になって父・金正日、祖父・金日成の威光を誉めたたえながら抗日革命闘争から祖国解放を成し遂げ、朝鮮民主主義人民共和国を創建したとの記述を通し、極端な一党独裁の憲法と日本の憲法の違いを比較しました。

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その上で、現行憲法と自民党が打ち出した条文イメージ(たたき台素案)を自衛隊の明記、緊急事態対応、合区解消・地方公共団体、教育充実の4つの観点から解説。

日本の憲法改正発議が「国民各層への幅広い理解に努めなければ達成できない」と幅広い国民の支持の重要性を訴えました。

憲法9条に関して「大半の日本国民が自衛隊合憲との立場だと信じるが、専門家である憲法学者は自衛隊合憲と主張するのは2割程度という調査結果もある」とした上で、「中学校の公民の教科書7社中6社で自衛隊が違憲の疑いがあると記述し、こんな教育を中学生が受けていることに強い危機感を感じる」と話しました。

また、「日本共産党は憲法9条の完全実施、つまり自衛隊を完全解体して災害救助隊のようにしてしまおうという主張を政策に掲げ、国会で一部議席を占めている」との護憲の極端すぎる捉え方に警鐘を鳴らし、「現行の憲法9条のままでは、すべての国民に納得される形で自衛隊は合憲だとは言い難いので、自衛隊を9条に明記することで自衛隊違憲がなくなるようにしたいというのが自民党内の大勢だ」と強調しました。

第二部のパネルディスカッションでは、コーディネーターの野澤幸弘氏(全国教育問題協議会理事)が基調講演の内容をたたき台として教育問題の視点から憲法改正を各分野の専門家を通して自由闊達に発言してもらう形で司会を進行しました。

内閣総理大臣補佐官で参議院議員の衛藤晟一氏が衆議院議員時代からの地元だった大分県がいかに人事面で日教組と教育委員会が密着した腐敗構造だったかを紹介。「ヤミ専従と教員の臨時採用問題も含め、人事や予算について明らかに違法行為が長年にわたって続いてきた」と述べました

日教組が教職で強い権力支配を維持してきた大分県でも「最近は教職員会議と日教組の会議が分けられるようになってきた」と日教組の強い県でも少しずつ改善傾向が見えるとした上で、第一次安倍政権で教育基本法改正を行って変わったのは、教育の目的として「人格の完成をめざす」とあったのが「教育は、人格の完成を目指し、 平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」となり、「教育原理の根本的な転換となった」と強調。

「情操と道徳心、創造性と勤労意欲、公共の精神、自然と環境保全、伝統文化の尊重と郷土会が教育の目的として明記されたことが大きな違い」とした上で、そのためには「良い教科書を作り、良い学習指導要領を作ることが大切であり、いまだに日教組教育の残影のようなものが残っているのを一掃しなければならない」と話しました。

LGBT問題についてはG(ゲイ)に当たる男性同性愛者は全体の4%、L(レズビアン)に当たる女性同性愛者は2%いるとの統計結果があるとした上で、「多数者が少数者を差別して対立構造を生むようにするのが共産主義であるが、日本は大和、調和の大いなる知恵で解決していこうとする」「どんな少数者も一人の人間として社会的な恩恵は平等に共有して行かなければならないが、だからといって特別な恩恵を要求されることに対しては議論がある」と話しました。

憲法改正については「戦後、米国が日本に押しつけてきた憲法を1947年の時点で先人たちは変えようとしなかった。安倍首相はじめ、われわれは憲法改正に対する思いは並々ならぬものがある」と前置きし、「9条の改正がなければ憲法改正を行う意味がない。改正することが戦後レジームから脱却できる唯一の道だ。現憲法では自衛権について明記されていない問題を自衛隊を国民の自衛隊に公認することで最終決着したい」と堅い決意をにじませました。

内閣総理大臣補佐官で参議院議員の衛藤晟一氏

内閣総理大臣補佐官で参議院議員の衛藤晟一氏

栃木県で教鞭を執る全日本教職員連盟の小林昭宏副委員長は、教育現場での過当労働で本来行うべき授業準備の時間が放課後わずか1時間ぐらいしかないため、小中学校の下校時間を早めることで少しでも教員の授業準備に費やす時間をできるだけ長く取る工夫が必要であることを提言しました。

教育評論家の小林正・元参議院議員は6月15日に第三期教育振興計画が閣議決定された意義について教育予算が増えない深刻さを強調。日本はOECD加盟35ヶ国中、国の教育に投じる予算割合が最低の状態ですが、せめて中央教育審議会が提言しているように国家予算の3.5%程度を目指す動きが出るのではとの期待感がある中、財務省の抵抗でできない実情が教職者の労働条件の大きな重荷になっていることを指摘しました。

小林氏は8月25日付の産経新聞「産経抄」に日本共産党の志位和夫委員長がツイッターで日米開戦に非常に消極的だったはずの昭和天皇の戦争責任を「戦争拡大の方向に積極関与した」と新たに断罪したことを紹介し、憲法上、天皇は無答責の立場であることをほとんどの国民が知っているにも関わらず、昭和天皇の側近の日記が最近、メディアで報じられたことで飛びつき、天皇制の解体をいまだに強く迫っている特異すぎる政党だと話しました。

衆参両院の開会式で天皇陛下が開会を述べる時、日本共産党は長い間、「玉座が高すぎる」と参加しなかったが、「最近、天皇制打倒で野党の中でも孤立するのを避け、野党共闘のために隠れ蓑として参加するようになったが天皇制解体の野望はまったく不変だ」と警告。東京・上野博物館で開催中の縄文展で日本の歴史の大切な一部が紡がれているが、歴史戦の中で縄文時代を文字のない原始共産時代と評して意図的に歴史認識を歪めていることを指摘しました。

全国教育問題協議会の堀口文良副理事長はマルクス主義発祥以来、フランクフルト学派を中心に武装革命理論から文化浸透による内部崩壊での革命をめざす文化共産主義がいまなお世界的に続いていると警告。

戦前から米国のルーズベルト大統領の側近がソ連のスパイばかりだったことや、とくに戦後、日本がGHQによって骨抜きにされ、フランクフルト学派によって席巻され、最近の国連での対日批判も馬淵睦夫・元駐ウクライナ大使が指摘する通り、フランクフルト学派の戦略によるものだと指摘しました。

多数者が少数者を弾圧するのは差別だとの主張から「ジェンダーフリー思想」や「ゆとり教育」が文科省に深く潜入したのもフランクフルト学派のエリートによるものだと強調し、最近のLGBT問題をはじめ、憲法改正に関しても深く関与していることを保守派は対処していく必要があることを強調しました。

最後に、コーディネーターの野澤幸弘氏が会場参加者から寄せられた質問事項を一つづつ読み上げ、パネリストに応答してもらう形で参加者の疑問に答え、幅広い疑問、質問に答える形で教育研究大会を終えました。

第二部のシンポジウム風景

第二部のシンポジウム風景

第二部のコーディネーターは全教協理事の野澤幸弘氏

第二部のコーディネーターは全教協理事の野澤幸弘氏

内閣総理大臣補佐官で参議院議員の衛藤晟一氏

内閣総理大臣補佐官で参議院議員の衛藤晟一氏

全日本教職員連盟の小林昭宏副委員長

全日本教職員連盟の小林昭宏副委員長

教育評論家の小林正・元参議院議員

教育評論家の小林正・元参議院議員

全国教育問題協議会の堀口文良副理事長

全国教育問題協議会の堀口文良副理事長

コーディネーターを務める全教協理事の野澤幸弘氏

コーディネーターを務める全教協理事の野澤幸弘氏

白熱した議論を展開するパネリスト4人

白熱した議論を展開するパネリスト4人

熱心に聞き入る参加者たち

熱心に聞き入る参加者たち