第32回全教協教育研究大会基調講演(要旨)


日本の教育行政の問題点

参議院議員 山谷えり子 氏

社団法人全国教育問題協議会(中尾建三理事長)は平成24年8月8日、東京・千代田区の自由民主会館で、全教協教育研究大会を開催。

SANY24411「日本の教育行政の問題点」と題して参議院議員山谷えり子氏による基調講演や「教育行政のあり方を斬る」をテーマにパネルディスカッションがおこなわれ、会員その他約300人が参加し、熱心な提言と討議を展開しました。

山谷えり子氏の講演の要旨は以下のとおりです。

司会 ただ今から、安倍晋三総理の時に、首相補佐官として教育再生を担当されました参議院議員山谷えり子先生から「日本の教育行政の問題点」をテーマに基調講演を賜ります。〈拍手)

山谷 皆さま、こんにちは。参議院議員の山谷えり子でございます。私は、税と社会保障の一体改革の、参議院の特別委員会のメンバーです。

◆民主党の幼児教育対策はおかしい
 税と社会保障の一体改革で、私は幼児教育といいますか、子供の育ちの部分を主に担当をさせていただきました。七月二十五日のテレビ中継の場で野田総理や小宮山担当大臣とやり取りをしました。今の法案は、民主と自民と公明党と三党合意して、修正案として出しておりますので、少しは良くなったんですけれども、最初の案はひどかった。どういう所がひどいかと言いますと、子供、子育てに消費税のうち七千億円を投入しますというのが看板でした。

 でも、よく見てみますと、そのうちの三千億円は0歳、一歳、二歳の保育園児を今後五年間で五割増しに増やしていくという。何でこの数字が出るんですかというふうに聞きましたら、将来保育所に預けたいですか、将来働きたいですかという、ずさんともいえるアンケート調査をして、それを足した数字らしいんですが。でも、五年後に〇、一、二歳の保育園児が五割増しになっていく。だから今、三千億円よこせと。何でそんなに全額が要るかというと、皆さん、0歳児一人一ヵ月の赤ちゃんに保育園費、いくらぐらい掛かると思います?国と地方と保護者負担一部なんですけれどもね。財政力の最も弱い地域で十七万円。下村先生の選挙区の板橋区では五十六万円ぐらい。一ヵ月一人の赤ちゃんにですよ。平均三十万円ぐらいなんです。

 実は、これをずっと厚生労働省は隠していました。自民党が地方自治体に全部調べたら、やっと、はい、月に十七万円でございますって、十七万円は最低レベルの地方です。それでも十七万、すごい金額ですよ。要するに、0歳児にものすごいお金が掛かっている。そして、それを人工的に、どんどん増やしていこうというのが民主党案で私たちは認めることはできません。

◆長時間保育は児童虐待
 と言いますのは、OECDで保育園の調査をしていますが日本は数字、データ全くないんです。ほかの国々は保育時間というのは大体六時間なんです。日本のように、日本は通勤の時間も入れるから八時間、九時間、十時間、十一時間やっている所がありますよ。長時間保育というのは児童虐待だというのが先進諸国の考え方なんですよ。だから六時間保育にしているんです。そして、0歳児保育などはもうもってのほか。家庭で見ることができるように、再就職支援をするとか、育児休業するとか、短時間勤務をするとか、そういうことにむしろお金を使うのであって、0歳児の赤ちゃんを保育園に預けるために予算をどんどん使っていく。消費税をそこに突っ込んでいくって。そんなこと国民は望んでいないと思います。

 人口問題基本調査会が、三歳までは育児に専念したほうがいいと思いますかという調査をしたら、そのほうがいいと答えた、二十代、三十代の国民は八割いたのです。四十代、五十代、六十代だと九割にのぼりました。本来であれば、家庭で親子が一緒に暮らせる時間を作るために、政策はどうしたらいいかということを議論すべきであって、どんどん0歳、一歳、二歳、もっともっと預けましょうということにはならないというふうに思います。

◆民主党の政策は国家弱体化
 民主党政権下ではそのほかに、国家弱体化、領土の問題も次々と起きてきていますし、この先どのようになっていくか分かりません。

 私がテレビで問題にしたのも、国家公務員の新入採用を、三年前に四割減、昨年は三割減、今度六割減にしていくという。会社で新入社員を四割減、三割減、六割減していったら、その会社は多分十年後にはつぶれるんじゃないでしょうか。人数減らすのみならず、質のいい人がもう集まらなくなってしまう、天下りとか渡りとか、とんでもない人たちもいる。
 働かない人たちもいる。悪い所は直していかなければいけません。しかし、全体と部分をごっちゃにして、全部をたたきつぶそうとしているというのが、今の状況でありまして、残念であります。

◆文科省に任せられなかった教育政策
 安倍内閣の教育正常化、教育再生は、下村官房副長官、私が総理補佐官、義家先生が事務局長となって、とにかく官邸で徹底的に教育のうみを出そうじゃないかということで頑張ったんです。普通ならば教育問題ですから、文科省にやっていただければいいんです。でも、文科省に任せたら、改革が進まない。だから、官邸に持ってこようじゃないかと安倍総理は決断なさったんです。

 改正教育基本法と教育三法の審議時間は戦後六大審議のうちの一つです。岸内閣の日米安保改定、佐藤内閣の沖縄返還、細川内閣の政治改革、それから小泉内閣の郵政民営化、安倍内閣の教育再生、そして今、野田内閣の税と社会保障の一体改革、これが戦後六大長時間審議と言われているものなんです。官邸でいろいろな形で正常化を目指して、教育基本法を改正して、学習指導要領を改訂して、そして教科書を書く皆さま方へ解説書を作って、それ教科書が書かれて、検定が済んで採択が終わり、去年の四月から小学生には新しい教科書が配布され、そして、今年四月から中学生たちの新しい教科書が配布されてきました。

◆文科省は見て見ぬふりの教科書採択
 小学校まではまあまあうまくいったんですよ。ところが中学です。採択の時期が、ちょうど民主党政権でございましたから、皆さまご記憶があると思いますけれども、八重山地区の教科書採択協議会で、育鵬社を採択しようじゃないかと決まったにもかかわらず、八重山地区教科書採択協議会というのは、石垣、与那国、竹富と三つあるんですが、竹富町が嫌だと言いだして、本来は文科省が乗り込んで、「何を言ってるんだ、協議会で決まったことにちゃんと従ってやってくれなきゃ困るじゃないか。」と指導すべきなのに、文科省は見て見ぬふりをしたんです。そして、その結果、竹富町は独自の、有志による寄付という形で東京書籍を使うという、掟破りという形に今なっているわけでございます。

◆育鵬社の教科書を採択したわけ
 なぜ与那国や石垣で育鵬社が採択されたかというと、石垣とか与那国というのは、非常に中国との関係で敏感な状況にあります。与那国も台湾まで百十キロで、台湾と中国のいろんな調査船がぐるぐる近くまで来て、与那国の人々は不安に思っています。町長選挙、自衛隊を誘致しようじゃないかという町長さんが結局は勝ったんですけれども、反対という方たちも動いて、誘致派が百三票差で勝ったんです。ですから、今度、誘致されるような方向で予算が付き始めました。

 それから、石垣も尖閣が行政区です。そうしますと、非常に日々敏感な状況の中にある。だからこそ領土意識をしっかりと持った子供たちを育てたいと思って育鵬社採択を決めたわけです。それを竹富町だけ掟破りをしたまま、ルール違反をそのままにしておくということは、誠に教育的ではないことでありまして、これは本当に自民党が政権を取り戻したら、きちんと整理をし直していかなければならないことだと思います。
      
◆在日韓国人に屈した小田原市議会
 もう一つ教科書採択では、小田原市議会が、在日大韓民国民団の人たちが自由社と育鵬社の教科書を採択しないでくれという陳情をして、何とそれが賛成多数で可決されたという事件が起きました。

 これも実は根深い問題として海外にまで波及しているんです。例えばニュージャージー州とか、いろいろな韓国系の市民、韓国系アメリカ人がたくさん住んでいる地区では、竹島を日本の領土だと書いた教科書を使うのは偏向教育だから補助金を停止しろっていう、この韓国系ロビイストたちの活動というのは、日本だけではなくて、アメリカ、そして世界に向けても、いろいろな形でネットワークを今作ろうと、ものすごい勢いで運動をしているところでございます。

◆韓国民団にお礼を述べる野田総理
 在日大韓民国民団と言えば、民主党の選挙をものすごく応援しています。いかに頑張って自分たちがビラ貼りや、証紙貼りやったりして頑張ったかって、そして民主党政権が誕生した時には大騒ぎで『民団新聞』は書いてましたよ。インターネットでも、どんなふうにみんなが選挙運動やったか、映像まで出ています。そして、野田総理は自分の地元の千葉の民団のお集まりの中で、「皆さんのおかげで政権交代ができました。」というご挨拶をしている。

 ですから教科書採択でも、こうした人たちが当然のように動いていく。そして民主党政権ですから、文科省はそれを見て見ぬふりをするという形で、とんでもない状況になっているわけでございます。

 自民党では義家先生が事務局長、私は幹事長になって、日教組問題を究明する議員連盟をつくり、いかにおかしなでたらめを、日教組がやっているかという、いろんな資料を集めたこともあります。西宮なんかでは、もう教頭先生になるのは、ほぼ組合員じゃなきゃ駄目ですから、早く早く登録してくださいみたいなことを勧誘をして、名前を出させて、そして実際教頭に出世しているというようなことがありました。また、山梨県で政治資金規制法違反で罰せられた、その先生方が一斉に教頭、校長に出世しているという、誠に反教育的なことが平気で行われております。
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◆教育正常化に取り組む自民党
 今、自民党では、後ほど下村先生からもご説明があるかもしれませんが、先生方や地方公務員を対象に、そして政治的中立を確保するための新教育三法というものを制定し、政権交代ができたら出したいと考えます。そしておかしな政治活動によって、またおかしな人事によって、またおかしな教科書の採択プロセスによって、子供たちの教育状況がゆがめられないように運動をしていきたいというふうに思います。

 国民の皆さまも、民主党政権になって、だんだん分かってきたのではないかと思います。きれいごとの表の看板と、実は中でやっていることが違うという。原発反対のツイッターで集まっているというふうに言われているあのデモも、毎週金曜日の六時から八時ごろになると、この国会の周り、たくさんの人が集まっています。

 もちろんツイッターとかで集まっているかも知れませんが、公安の方たちに聞きますと、集まっている人の中には中核派とか過激派が毎回二百人くらいいる。そして、そうしたことを知りながら、野田総理は今日、お会いしようとしたんですね。しかし、「民主党の支援者であるから、会ってやってくれ。」という民主党内部の圧力があり、「じゃあ会わなきゃいけないかな」という状況にまで野田総理が追い込まれる。そのぐらい、そうした方たちが支援者であるというのが、今の民主党政権であります。

◆おかしいぞ、高校教科書
 小学校、中学校の教科書は、かなり安倍内閣の教育再生の理念もちゃんと反映した教科書になっているんです。ところが高校の教科書になりますと、政権交代されてしまった後ですから、鳩山前総理の大きな写真があり、国連でCO225%削減の根拠ない演説をすっかり英雄のように書いています。

 慰安婦問題もそうです。中学の教科書ではやっと消えたんです。この慰安婦問題が、高校の教科書でまた,慰安婦に駆り出された”という記述に軒並みなってしまいました。非常に残念です。自民党は部会を開きまして、文科省に質問しましたが答えられませんでした。慰安婦に駆り出した、駆り出された、この主語は誰なんだって。主語がない文章なんですよ。誰なんだって言っても、いや、いやって。じゃあ日本軍なのかって聞いても、いや、日本軍とは限りません。じゃあ誰なんだって言っても、主語がないですから答えられないんです、文部科学省の役人は。そんなものを検定で合格させちゃってる。きっと、主語が書いてありませんから、主語は先生たちがそれぞれ考えて、いろんなことを教えちゃうんでしょうね。本当に悔しいことです。

 今、アメリカで慰安婦のおかしな記念碑が造られていっています。その記念碑を撤去して正しい理解を広めようじゃないかということを決議いたしました。韓国系のアメリカ人が五二%住んでいるニュージャージー州のパリセーズパークという町に五月に古屋先生、塚田先生、竹本先生と行き、現地の市長らに資料で事実を説明してきました。この町では一人の議員さんは千票ぐらいで当選します。ですから、市長さんも韓国系の言うことを聞かないと当選できない。その公共図書館の中に、日本軍が二十万人の女性と少女を拉致して、慰安婦にしたという記念碑が立ってしまっているんです。
        
◆従軍慰安婦問題異に動かない民主党
 私は三月のテレビ中継入りの予算委員会で野田総理に、この記念碑どう思うかって聞いたんです。そうしたら野田総理は、数、経緯、根拠がないじゃないかって答えてくださったんです。ところが、民主党政権は全く動かないんです。それで私たちが五月六日にパリセーズパーク市に行って、市長と市議会議長と図書館長に会いますと言ったら、慌ててニューヨークの総領事がその五日前に行って、撤去してくれと言ったようですが、とにかく外務省は主体的に動こうとしないんです。

 慰安婦というのは、戦時中、民間の事業者が集めて、英語でちゃんと当時の募集広告も見せ、月給もこんなにたくさん、そして何歳から何歳まで健康な女性、行く場所はここですよって、こうやって民間事業者が集めたんですと。そして政府は三千ページの資料、アメリカの国立公文書館からも資料を頂いて、むしろ軍とか地方自治体とか、あるいは官憲などは、悪い業者がだましたり、お全を払わなかったりして女性たちを悲しめないように、通達を出したり、取り締まりをしていたんですって、ちゃんと英語で訳して三時間にわたってパリセーズパーク市側に私たち説明を行ったんです。

 その後、アメリカにいる日本人のお母さんたちも立ち上がりました。「言われない強姦魔の子孫だなんて言われて、子供たちがいじめられるようなことがあってはいけない。」ということで、ホワイトハウスヘ向けて署名活動を始めたんです。事実でない記述の慰安婦の記念碑を撤去してほしい。そして、「事実じゃない国際的ないやがらせ、インターナショナル・ハラスメントに加担しないでほしい。」という署名が三万三千集まったんです。(拍手)

 ホワイトハウスに正しく動いてもらうためには、日本の外務省が私たちが示した英語の資料を持つて説明に行かなきゃいけないんですよ。七月末に私、予算委員会で確認しましたがやってないんです。ですから、ニューヨークにもまた記念碑が立った。日本軍が二十万人の女性と少女を拉致して、性奴隷にしたという碑です。今度は性奴隷になっちゃったんです。

 私は今、野党で一生懸命やってますがホワイトハウスに正式に申し入れをするのは政府しかできないことですが、野田総理は動こうとしない。

 GHQは占領時代に、日本弱体化政策をいたしました。地理、歴史、道徳を教えてはいけない。武道、書道、教えられない。いまだに、独立してから六十年以上たってるのに、まだそれが後を引いている。歴史と地理が領土教育もやっと少しできるようになったかなと思ったら、また高校の教科書では後戻りであります。誠に悔しい限りであります。

◆大切な領土教育
 北方領土、竹島、尖閣、与那国、沖ノ鳥島、ちゃんと日本の国境をきちっと書ける子供たちというのがいないんです。日本は世界で六十番目の面積の小さな国かもしれない。でも、海洋面積で言えば、EEZという排他的経済水域、そこでは資源とか漁業活動ができるんです。その面積を入れると世界で六番目なんです。体積で言えば世界で四番目なんです。

 先日も南鳥島の周辺にレアアースの泥の塊が、二百年ぐらいから二万年ぐらいあるのではないかというニュースがありました。つまり、日本は資源小国じゃなくて、実は資源大国なのかもしれない。そして、世界に開かれた海洋国家なんだ。だから、海の航行の自由は確保されなければいけないし、諸外国のそれも守り合いたいという、こういう領土教育もきちっとしないといけないと思います。

 先日、下村先生も尖閣の所まで漁船でお魚捕りに行ってくださったんです。〈笑)私もこの八月十八日、十九日、行ってまいります。〈拍手)領土議連の会長を八年ぐらい前からさせていただいておりまして、最初は竹島や北方領土を教科書にきちっと書いてくださいという運動をやっていました。そのうち、NHKに行って、お天気マークを竹島や北方領土に付けてくださいとか、郵政省に行って、記念切手発行してくださいとか、そういうことをやっていたんですが。最近は本当に北方領土、竹島、尖閣もういろいろ大変で対応しなければならないことが増えています。

 そして尖閣周辺の海も、中国や台湾の船がいて、日本の漁業組合が、与那国、石垣、宮古、八重山漁業組合の方たちが漁業活動ができにくくなってるんです。だから私たち、漁業関係者と一緒に乗らせていただいては、漁業活動をしているんです。八月十八、十九日は十回目の活動なんです。

 そして、ちょうど八月十八、十九日というのは、実は昭和二十年の七月三日、石垣から台湾に向けて疎開船が二隻出ました。米軍が見つけて爆撃して、一隻は沈没、一隻は壊れて尖閣に漂着しました。でも、戦時中とあって助けに行くことができません。やっと助けに行けたのは昭和二十年の八月十八日。そして、石垣に連れて来れたのが八月の十九日なんです。慰霊碑には八十名のお名前が刻印されていますが、いや、百名以上亡くなられたのではないかという現地の方たちもいらっしゃいます。祈りもささげながら漁業活動、そして尖閣の海がいつまでも平安であるということを祈ってまいりたいというふうに思います。

◆古事記は日本人の心
 今年、『古事記』編纂千三百年なんです。私、各地で『古事記』の素読をやっているんです。

 ちょっと最初だけ読みますと。

 天地の初発の時、高天原に成りませる神の名は天之御中主神、次に高御産巣日神、次に神産巣日神、この三柱の神は、みな独り神と成りまして、身を隠したまひき。次に国雅く、浮脂の如くして、くらげなす漂える時に、あしかびのごともえあがる物によりて成りませる神の名は、宇摩志阿斯詞備比古遅神、次に、天之常立神。この二柱の神もみな独り神となりまして、身を隠したまひき。上野くだり五柱の神は別天神。・・・・・・(拍手)

 残念ながら今の子供たちは読めないですよ。最初はつっかえつっかえでも、そのうち何か読めるようになってくるんです。

 そして、イザナギ、イザナミの神様がこおろこおろと淤能碁呂島を産み、次々と島々を呼んでいきます。韓国資本によって、安全保障上重要な所が次々に買われてしまっている。対馬はアメノサデヨリヒメというお姫様の名前です。そして五島列島、中国の漁船が何回も侵犯してきています。その五島列島はアメノオシオという神様の名前が付いています。

 つまり、日本人というのは、山、川、水、草、木、風、すべて神様、島々に神様のお名前を付けて、神様からのお預かり物、そしてそれを守りながら、祈りながら子孫に伝えていこうって、これが日本の領土観。これは新渡戸稲造が『武士道』でも書いています。こういう領土観をやっぱり子供たちに伝えるべきだと思います。そして、日本というのは結びの思想なのよつて、タカミムスビノカミ、カミムスビノカミ、そしてアメノミナカヌシノカミという何かを形作るもともとのエネルギーがある。

 だから、最近になってヒッグス粒子が見つかった時、私は、うわあ、日本人ってこれを直感してたんじゃないか既に、と思ったぐらい、欧米の学者はこの『古事記』を今、すごく注目してるんですよ。宇宙物理学的に、何か日本の民族がこれを直感していたような、そういう記述がいっぱいあるからと研究が始まっている。私、六月もへブライ大学ヘ行って、この『古事記』、解説というか、私なりのをやってきたぐらい非常に興味を持ってくださっている。(拍手)

 キリスト教の国は『旧約聖書』『新約聖書』読みますよね。イスラムでしたら『コーラン』読みますよね。しかし日本人は、『古事記』読んでないんですよ。こういう民族は私、あり得ないと思います。アーノルド・トインビーさんも、「十二歳までに民族の物語を教えなければ、早晩その民族は滅びていくだろう。」と言っています。

 今年の中学からは『古事記』を教えようというのが、ちゃんと学習指導要領に入ったんです。安倍内閣によって。ですから、心ある先生たちはこうした活動を始めてくださっています。そうすると、こうした神話を教えると非常に前向きになって、そして集中力が出てくるといった意見が寄せられています。

 私も『古事記』の素読をしますと、私は専門家ではないので大した解説もできないのですが、たとえば国がまだ若いころ、どろどろとマグマのような状態で、あしかびのような粒子、胞子のようなものができ、そして、ウマシアシカビヒコジノカミ、大和は麗しい、うまし国というのは、その辺から来たのかしらなんて話しますと、何かみんな直感的に感じるものがあるようです。

 そして今、今上陛下は百二十五代でいらっしゃいますが、民主党の官房長官とか総理に、今上陛下は何代ですかと聞いても答えられませんね。最近はやっと答えられるようになりましたけど。考えたこともないんです。そして、戦後の教育で教えたこともないです。初代神武天皇様が橿原宮でご即位なさってから百二十五代、連綿と続いてきた国というのは世界中どこにもありません。(拍手)

 そして皇統が今年皇紀三千六百七十二年です。今も続いてるって不思議じゃないですかと言うと、子供たちはもうびっくりします。そんな話聞いたこともない。

 こういう、本当に基礎的なことを教えて、できれば私、英語で教科書に載せたらいいと思うんです。日本ってどんな国ですかって言ったら、清らかな国です、稲の実る国です、そしてご皇室を戴きながら大きな家族のように、みんなが睦み和らぎ、徳を高め、勤め励んで、正直、親切、勤勉、チャレンジ精神、親孝行でずっとずっと生きてきた国なんです。だから僕たちはうれしいって、これからも発展させていきたいので、英語で教科書に載せて、しゃべれるようになったら、それこそ私は国際人だというふうに思います。(拍手)

◆大津いじめ事件は教育委員会の見直しを示唆
 大津市で起こったいじめ事件は戦後の教育委員会制度、学校長の姿勢が問われています。教育再生の時もそうだったんです。福岡の筑前町で、いじめで自殺した子がいまして、私たち早速調査に行きました。ところが何と、教育委員会も学校も立ち入り拒否をしたんです。そこで、安倍総理は二十四時間いじめダイヤルを設置する。子供たちは直接二十四時間ダイヤルで受け付ける。そして、それを文科省がきちんと丁寧に見ていくと。法律も改正しました。今までは、地方分権だから文科大臣が何とかするということはできなかったんです。でも、きちんと生命にかかわるようなことは、文科大臣が是正の指示ができるようにした。

 そういうふうに法律変えたでしょうって、自民党の部会で、先日、大津市のいじめの事件が表になった時に言ったんです。そうしたら、文科省の人間は何と言ったか。「もう死んでしまっておられますから、生命にかかわることではありません。」なんて言ったんです。本当に腐ってますね。昨日も仙台市で、たばこの火を腕に二十三ヶ所押し付ける事件が起きました。親が何とかしろって言ったら、そのいじめられている側の子の方に退学届出させようとしました。もう腐ってます。あり得ないです。政権取り戻したら、これは、いじめと犯罪事件は違うんですけど、犯罪事件の場合、きちんと警察を入れて解決していきます。〔拍手)

 それから、安倍内閣の時にも決めたんです。責任をきちっと明確にして、場合によっては校長先生や担当の先生に退場していただくとか減給するとか、きちっと処分するという。(拍手)

 これもしっかりとやっていきたいと思います。教育行政、まだまだ問題があります。やらなければならないこと、たくさんあります。皆さまのお力も頂きながら頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。〈拍手〉

岩島理事 ご講演を賜りました山谷えり子先生に、もう一度。〈拍手)