国公立大入試、「AO」「推薦」最多に


入学志願者数推移 文部科学省は9月2日、国立大82校と公立大84校の平成27年度入試の概要を発表しました。

受験生の個性を重視し、書類や面接などで選考するアドミッション・オフィス(AO)入試を実施するのは、前年度から2校増えて71校で、推薦入試は2校増の157校。

ともに過去最多で、担当者は「大学数の増加と大学側が多様な人材を求めていることが原因ではないか」と分析していますが、少子高齢化で大学冬の時代となり、青田買いが激化しているためとの見方もあります。

大学が「狭き門」ではなくなり、高校生も保護者も現役志向が強まり、浪人生が減っています。今春、大学・短大進学を目指した浪人生は約8万人。20年前の3分の1以下なのです。

文部科学省の調査結果などによると、1994年春の浪人生は約28万人でしたが、年々減少。この20年間で受験生のうち、浪人生の割合は4人に1人から9人に1人まで減りました。

現役志向が強まった背景には、最近の若者が住み慣れた地元で進学、就職し、友達とのつながりを大切にする意識が強まっていることが挙げられます。

受験人口が減っているのに大学の数は20年前の552校から781校に増えています。

大都市圏の有名大学に入れば大企業に就職し、一生安泰という時代が終わり、最近は中間所得層でも浪人時代の費用や上京後の仕送りが家計の大きな負担になっていることが現役志向の高まりとして表れて来ています。

大学が乱立し、各大学が学生の確保を最優先するためにAO入試や推薦入学枠を拡大。『青田買い』を増やした結果、現役入学者が圧倒的に増えてきた要因でもあります。

文部科学省:平成27年度国公立大学入学者選抜の概要