カウンセラーら専門員を法制化 文科省検討


スクールカウンセラー文部科学省は、教員とは別に小中高校の運営にかかわる人材を充実させるため、子どもの心の相談に乗るスクールカウンセラーや福祉の専門家ソーシャルワーカーを将来的に常勤化するよう法令を改正する方向で検討を始めました。

職務を明確化し、数を増やして全公立校で相談を受けられる態勢充実をめざし、教員を支え、複雑化する課題に「チーム学校」として対応しようとしています。

「チーム学校」については、文科相の諮問機関「中央教育審議会」が昨年から議論開始。

今年7月にも制度化を盛り込んだ中間まとめを出す見通しです。文科省は早ければ来年の通常国会に、学校教育法などの改正案を提出する意向です。

経済協力開発機構(OECD)が昨年に発表した国際調査では、日本の中学教員の勤務時間は週53・9時間と各国の中で最長。部活や事務にかける時間が長く、授業時間は各国の平均を下回っている異常な多忙化が拡大しています。

公立小中高の不登校は約16万人にのぼり、障害がある子や経済的に苦しい家庭など対応が必要なケースは増加。川崎市で中学1年生が殺害された事件では、校外の交友関係をどう把握することも課題に浮上しています。

文科省はこれまで、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーに補助金を増やしてきましたが、法令上の位置づけはなく、自治体によって勤務実態や配置は落差がありました。省令で位置づけ、将来的に1人が複数校を担当する形で常勤化させる方針。全公立校で相談が受けられるよう増やしていきたい意向です。

公立小中高校に約4万8千人いる常勤の事務職員の役割も広げ、経理など事務だけでなく運営面でも責任を持たせ、校長や副校長の負担を分散させる。「学校運営主事」(仮称)などに名前を変えることも検討される見込み。

【「チーム学校」の主な職種】
《スクールカウンセラー》
悩みのある子の相談に乗りいじめや不登校にも対応(7302人)
《スクールソーシャルワーカー》
家庭への経済支援や虐待について児童相談所など他機関と連携(1466人)
(2014年度、文科省調べ。公立小中高、特別支援学校は全部で約3万5千校)