東京都教委「不適切」実教出版教科書、3年連続選定なし
東京都立高校が平成28年度に使う日本史教科書で、都教育委員会が国旗国歌に関する記述が不適切だとして使用を控えるよう通知した実教出版(東京)の教科書は、いずれの高校も選定しませんでした。
平成26、27年度についても同様の通知があり、選定した高校はありませんでした。
東京都教委は8月27日、各都立高校が選定した28年度の教科書を採択。
不適切としていたのは実教出版の「高校日本史A」と「高校日本史B」です。
国旗掲揚や国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」などと記述されており、東京都教育委員会は「考え方が異なる」としていました。
2020年に東京五輪が開催されるのに、実教出版の教科書がこれでは論外です。
神奈川県も一昨年、同県教委の方針と相いれない記述があるとして希望校に「再考」を求めて問題になった実教出版の「高校日本史A、B」を希望した高校は、昨年同様ありませんでした。
国歌起立斉唱の職務命令を合憲とした最高裁判決があり、国旗掲揚や国歌斉唱は世界各国を見ても、国民の最低限の義務。実教出版の日本史教科書は国旗国歌について「公務員への強制の動き」などという日教組と軌を一にする主張を教科書に明記している客観性の欠如が東京都教育委員会でも「考え方が異なる」と問題視していることになっており、教育正常化にとって重要な教科書選定の動きとなっています。
一方、千葉県教育委員会は8月26日、臨時教育委員会議を開き、平成28年度から4年間、県立中学校2校で使用する歴史と公民の教科書について、育鵬社(東京)の教科書を採択しました。同社の教科書が採択されたのは、千葉県内では初めて。
2校は県立千葉中(千葉市中央区)と来年度に開校する県立東葛飾中(柏市)です。
同会議では、同社の教科書が5対1の賛成多数で選ばれました。
千葉県教育委員会によると、育鵬社の教科書は県の教育施策に適合し、「郷土、わが国の歴史、伝統文化など、日本人としてのアイデンティティーを確立する内容」などと評価されたとのことです。
大阪府泉佐野市教育委員会も平成28年度から4年間、公立中学5校で使用する歴史の教科書について育鵬社(東京)の教科書を初めて採択。同社の歴史教科書は、4年前の選定時も候補になりましたが、そのときは東京書籍(同)の教科書が選ばれていましたが、今回、歴史では8社の教科書が審査対象となり、育鵬社が5対1の賛成多数で選ばれました。
沖縄県石垣市教育委員会は平成28年度から4年間使用する中学公民教科書を、前回に引き続き育鵬社版を採択することを決めました。会合では各委員が教科書に関する意見を述べた後、全会一致で育鵬社版の採択を決定。
平成23年の前回採択では、石垣市、与那国町、竹富町で構成する共同採択地区が育鵬社版の教科書を選定しましたが、沖教組、日教組の影響が強い竹富町は採択せず、別会社の教科書を配布した経緯があります。
また、宮城県教育委員会が県立中高一貫校の仙台二華中(仙台市)と古川黎明中(大崎市)で、来春から使用する歴史教科書として育鵬社(東京)を東北で初めて採択。育鵬社の教科書は今年度、東京都立中高一貫校や大阪市、横浜市などで歴史、公民合わせて計12万冊以上の採択が決まっています。
実教出版とは真逆の、国旗国歌や日本人としての郷土愛、伝統文化を大切にする内容が教育委員会でも評価されるケースが増えています。