高校生の政治活動一部容認 文科省が46年ぶり見直し通知


選挙権来年(2016年)の参議院選挙から選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられます。

文部科学省は10月29日、高校生の政治活動を全面的に禁止した通知を46年ぶりに見直し、休日や放課後の校外に限り容認する新たな通知を各都道府県などに出しました。

46年前といえば、1969年です。

共産主義陣営のソ連と自由主義陣営の米国による冷戦構造が本格的に始まり、中国も二十歳に満たない少年少女の紅衛兵が知識人階層を自己批判させて粛正する文化大革命が始まった時期。

戦後、日本でも左翼学生運動で共産主義、マルクス主義に幻想を抱いた若者が全学連、全共闘世代を生み、ヘルメットとゲバ棒で勉強そっちのけの左翼運動に暴走したため、学業が本分であるはずの高校生もそれになびいていた時期。

46年ぶりというのが時代の変化を感じます。

冷戦構造が崩壊し、ソ連を中心とした共産主義国家は崩壊しましたが、中国や一部の国はいまだに共産党一党独裁。日本の国内外で共産主義者の残党はいまなお、一定の勢力を保ち続けていますので、文科省としては一部容認という形しかできません。

ほぼ半世紀ぶりに容認ということです。

18歳選挙権は6月に成立した改正公選法で盛り込まれた新たな選挙権年齢。年齢の引き下げは「25歳以上」から「20歳以上」に変更された昭和20年以来となっています。

来年(2016年)には18、19歳の約240万人が有権者に加わる見込み。高校3年生の一部も含まれることから、文部科学省と総務省が9月、高校生向け副教材と教員向け指導資料を公表しました。

集会やデモへの参加も可能となるが学業への支障などがある場合、学校側が禁止を含め適切に指導することも求めました。

高校生の政治活動をめぐり文部省(当時)は昭和44年、大学紛争に伴い高校でも授業妨害などが相次いだため、全面的に禁止する通知を出しました。当時のことを知る人は、よくわかるのではないかと思います。

当時、大学紛争によって、東京大学の大学入試が行われなかった時期もあるのですから。

文科省の新たな通知では、休日や放課後などに校外で実施される政治活動について「家庭の理解の下、生徒が判断し、行うもの」として容認。

ただ、生徒が政治活動に熱中し学業や生活に支障があると認められる場合は、学校側が必要かつ合理的な範囲内で制限や禁止を含め適切に指導するとしています。

日教組がいまだに校内で政治活動を行っている中、教員には特定の政治的立場に立って生徒に接しないよう求めてあります。

高校3年の同じクラスに有権者と非有権者が混在する初めての事態への戸惑いや、大学受験を控えた高校3年で政治的素養を育む授業時間の確保の難しさを訴える声も出ています。

今回の通知について学校現場からは歓迎する声も上がっていますが、現場に即した具体的な指導指針を求める声も強く、文科省と学校側とで今後手探りが続きそうです。