子どもへの未来投資、「教育国債」が本格始動


子どもたちが貧困による教育格差で大学の授業料が払えないなど、深刻な教育環境に直面していることから、自民党は大学など高等教育の授業料を無償化するための財源として、使途を子どもの未来への投資として教育に限定した「教育国債」を発行する検討を始動しました。

安倍晋三首相は1月の衆院本会議上で高等教育の無償化をめぐり、「経済的理由によって進学を断念せざるを得ないことはあってはならない。必要な財源を確保しつつ、しっかりと取り組む」と答弁しており、教育再生を目玉とした安倍政権としては力強く推進していく姿勢がにじみ出ています。

さらには、安倍首相は1月の施政方針演説で「憲法が普通教育の無償化を定めた。高等教育も全ての国民に真に開かれなければならない」と語っており、実現へ本腰となっています。

一般社団法人「全国教育問題協議会(全教協)」顧問の小林正元参議院議員は「安倍政権が教育問題で打ち出しているのは、幼児教育の無償化、高校生への小学給付金、フリースクールなどだが、もっとも大切なのは、教育とは未来への投資であるということ。10兆円が教育再生に必要であれば教育国債を通して国民が教育の未来へ投資することが大切」と教育国債の重要性を強調。

すでに昨年2月の段階で全教協の理事会でも、この点についてさらに啓蒙拡大していく必要性が話し合われ、ようやく自民党で本格的に教育国債の導入が本格検討されるようになりました。

自民党の恒久的な教育財源確保に関する特命チームは2月15日、初の役員会合を開き、主査の馳浩前文部科学相が教育国債の検討に入ることを表明。春に中間報告をまとめ、政府が6月にも決定する経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に盛り込むことを目指します。

安倍政権は旧民主党政権が導入した高校無償化を所得制限を付けて継続。高等教育への支援は、返済の必要がない給付型奨学金を2017年度から先行実施しますが、1学年約2万人を対象に原則として月額2万~4万円と限定的になっています。国公私立大学の授業料が上昇を続けるなか、卒業後の奨学金の返済難など「若者の貧困」には十分応えきれていない実情をなんとか打開し、安倍政権の最も力をいれたい教育改革の柱にしたい構えです。

具体的には高等教育の無償化を実現するには5兆円から10兆円規模の財源確保が必要とされます。

安倍政権は旧民主党政権が導入した高校無償化を所得制限を付けて継続。高等教育への支援は、返済の必要がない紐なしの給付型奨学金を2017年度から先行実施しますが、1学年約2万人を対象に原則として月額2万~4万円と限定的のままです。国公私立大学の授業料が上昇を続ける一方、卒業後の奨学金の返済難など「若者の貧困」としわ寄せには十分応えきれていない実情があります。

教育国債のあり方については、財源の裏付けがない借金であることから返済に関しては次世代が担うことになります。

教育は未来への投資という基本理念を理解しない財務省は「親の世代が子どもに借金を回すものだ」(麻生太郎財務相)と強くけん制し、財務省への地道な説得が不可欠となっています。